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3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)
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カスタマーレビュー ![]()
すごい人もいたものだと・・・
(2008-12-16)
前著「若者はなぜ3年で辞めるのか?」がとても印象に残り、その続編となるこの本を読んでみました。
前著では、年功序列という制度がいかに若者に冷たい制度であるのかという主張を、新卒志向などとからめつつ丁寧に書いていて、ロスジェネフリーター(?)の私にはぐっとくるものがありました。
本書はそのような著者の主張を裏づけする20の事例を描いています。
ただ、その事例というのが、ちょっと特殊な例が多いのではないかという気もしました。たとえば以下のような例です。
>外資系生保に転職し年収が20倍になった彼
>新卒で外資系銀行を選んだ理由
>大手新聞社の文化部記者という生き方
>大手広告代理店で独立の準備をする彼
>東大卒エリートが直面した現実
>大手企業でMBA取得後、安定を捨てた彼
>大企業からNFLへ
>東大卒業後、出家した彼
>国家公務員を辞めて、公務員の転職を支援するという生き方
まあ、このような光り輝く方々ばかりではありませんが、このような例が半数以上で、だんだんと読んでいるうちに「・・・・凄い人が居るんだなあ」と、なかば他人事になってしまいました。
著者の興味は大企業における人事システムであり、そういう意味では、もともと大企業にいた人が、あるいは大企業に入るべき人が、年功序列をいかに使わずに活躍しているかということが、著者の見せたい部分なのかもしれません。
しかし前著は、「新卒と既卒の差別、年齢差別」に切り込むなど、「持っていない人」にも訴求する力があったように感じます。本書の終わりの方にはニート問題へ取り組むNPOの話題もあり、「競争から共生へ」というスローガンやスローワークも悪くないことが紹介されており、その章はとても良かったと思います。
>これからは、レールを降りて、各自がそれぞれの道を探す
>時代が間違いなくやってくる。
>突っ走ってもいい。でも、何人かで歩いていくのも
>悪くはない。
年功序列の変化は、そのような価値観の変化も伴うものでしょう。著者自身がおそらく現時点ではスローワーク志向でないように見受けられるのですが、今後さらにこの著者の主張を見守ってゆきたいと思います。
外資の迎合
(2008-12-08)
前半部は転職するにはスペシャリストでなくてはならないことを具体例に沿って解説。
後半部は筆者の主張である終身雇用制等の「昭和的価値観」の否定が展開される。
つまるところ、官僚制度、日本大企業を批判したいらしい。比較対象として外資系企業を持ち出しているが、その輝かしい面を部分的に取り出しているため、鵜呑みにするのは危険である。
前半部に若者への志望企業のアンケートで外資だらけと述べていたにもかかわらず、あとがきに日経大企業が多い等、論理的に矛盾する部分もパラパラ。
あとデータのよるサポートも弱く、いささか感覚的に記述された本だと言える。
後半部はともかく、前半部は転職するに当たっての知識として有益だった。
「若者は為されるがままでいるな。わがままになれ」
(2008-11-21)
タイトルにもつけましたが、この本の一番に言いたい事は
「日本は若者の権利を否定する一方で、若者なしではやっていけない」
「労働者が適正な報酬を得られるシステムが必要」
「若者はわがままになれ」
だと思う。
多くのアウトサイダーの事例から、
現代日本の雇用・仕事について考察した本です。
終身雇用崩壊、
社会党・共産党の保守化、
若者の意識の変化、
日本の仕事観の特殊さ
世代間格差
など、多くの示唆に富む考察が展開されています。
現代日本の仕事を取り巻く多くの問題に気づきました。
もちろん各事例の話も興味深いです。
特に東大卒のお坊さんの話は面白かった。
仕事やそれを取り巻く環境に違和感を感じている人にオススメです。
多様性という平成的価値観
(2008-11-03)
終身雇用は既に崩壊した。
大企業に就職すれば一生安泰という考え方はもはや通用しない。
時代は大きく変わった。中高年層は遺産を活かして逃げ切ればよいが、これから社会に参入していく若者たちはどのように生きていけばよいのか。
本書ではしたたかに生きる若者たちが紹介されている。
本書を読んで思ったのは時代の変化に最も対応し切れていないのは従来型の企業であるということだ。つまりは中高年層、それもエリート中高年層の思考が強く反映される組織こそが旧来の価値観にしがみつき、新しい時代の若者の中でも優秀な層に見放されつつあるという事実だ。「最近の若者はバカになった」のではなく「バカな若者にしか相手にされなくなった」という視点の変換は強烈な印象を与える。
しかし、考えてみると大企業の終身雇用といっても出世競争に敗れれば出向もある、そもそも中小企業では終身雇用というもの自体が保証されていなかった。昔から職に定着しない若者はいたし、芸術や文学といった夢を求めて定職に就かずに自分の道に邁進する若者もいた。勿論、海外に活躍の場を求めて日本を出た若者もいた。現在、盛んに言われるような新しい若者は庄和の時代にも存在はしたのである。平成になって数が増えたのは事実だろうが平成になって新しく登場した人々というわけではないだろう。
大きな変化は画一性の昭和から多様性の平成へという時代の変化である。
高度成長期を過ぎ、同じ価値観で人々が生きる時代は終わった。これからはそれぞれがそれぞれの価値観で生き、共生する時代である。自分で道を切り開いていかなければならないため、おそらく多くの人間にとって平成は昭和ほど生きやすい時代ではないように思う。格差も拡大して行くであろう。それでも自分が自分らしくいきることのできる時代は幸福な時代ではないだろうか。我々は昭和の夢にまどろむのではなく、平成の現在に生きなければならない。
前著並みの水準を期待したのだが・・・
(2008-10-30)
世代間格差是正の主張には強く同意するが、「平成的価値観」はやや理想論に過ぎまいか。
著者の説くところの20〜30代正社員と非正社員の共闘にしても、
結局は両者の不均衡のみを均す(言わば両者のゼロ・サム・ゲーム)のみにとどまる
(世代間格差は解消されない)よう、現在の既得権者は狡猾に仕向けてくるだろう。
そもそも正社員と非正社員の責任の違いや、
そこに至るまでに費やした努力を捨象して両者の格差をなくせという主張には無理がある。
また社民党(旧社会党)・共産党批判は至当であるが、
現在甘い汁を吸っている既得権者と結託しているのは現政権与党である
という点が閑却されていては何の問題解決にもつながりはしまい。
前著が良かっただけに肩透かしである。
